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(ネタバレあり)『ひとりぼっちの宇宙侵略』での対(つい)と二重惑星(暫定稿)

***この文章は『ひとりぼっちの宇宙侵略』の8巻までのネタバレを多量に含みます。お気を付け下さい***

 いきなり自分語りのようになってしまうが、私はシリアスな作品ではキャラの1対1の関係が強調された作品を好むようだ。『少女革命ウテナ』『TIGER & BUNNY』『交響詩篇 エウレカセブン』『鋼の錬金術師』『GUNSLINGER GIRL』『星界の紋章』などだ。『機動戦士ガンダム』にしても極論するとアムロとシャアの話と言えなくもなかろう。

 私にとって関係とは友情、愛情だけではなくて、憎悪、嫉妬などや他、本人にも名付けられない感情も含む。原作の『攻殻機動隊』で人形使いが言っていた「縁(えん)」のような概念かもしれない(注1)。

 さてこの『ひとりぼっちの宇宙侵略(以下、『ぼっち侵略』)』もそのような1対1の関係が強調された作品に思える。両方とも未読だが、作者の小川麻衣子は『魚を見る夢』でも姉妹の濃い関係を描いており、『とある飛空士への追憶(小川は作画)』でも1対1の関係が強いようだ。

 『ぼっち侵略』もそのような1対1の関係を強調した作品である、と私は考える。1巻の終盤で広瀬岬一(以下、岬一)が大鳥希(以下、希)に「お前はもうひとりぼっちじゃないんだ!!」と言っている。その後も二人の交流を中心に物語は進む。

 それなのに『ひとりぼっちの宇宙侵略』という題名なのは何故か。一つは藤子・F・不二雄の短編作品『ひとりぼっちの宇宙戦争』が元ネタであるため、もう一つは反語的な効果を狙ったためと思う。

(注1)『攻殻機動隊』で情報生命体「人形使い」は生命として進化するために主人公と融合することを望んだ。その理由を聞くと、縁があったからだと言う。縁とはいい他者との関係も悪い他者との関係も含み、主人公を殺そうとしたあるテロリストとの関係を例に挙げた。




主要ではない対

 『ぼっち侵略』では岬一と希の他に、主要なものではない多くの対が出る。それらにふれよう。

 まず岬一には凪という双子の兄がいる。一見すると、人当たりが良く家業を継ぐ気がないと公言しており外向的に見える。しかし凪(無風状態)という名が示すように現状維持を好むタイプではないかと思う。周りに気を遣いすぎてイライラするのを紛らわすために甘いものを好む、とマーヤに分析されるように裏表のある人物で、表裏のほとんどない岬一とは対称的だ。

 広瀬家自体をグループとして扱うには構成員がバラバラだ。祖父が最年長で、岬一の両親は他界しており、龍介は年が9つも上なので、岬一と凪の結束が強調される。凪の岬一への感情は愛憎入り交じったもので(7巻)、そして自分たち双子に割って入って岬一を奪い取った希を憎悪する。岬一がオルベリオの心臓の力を手に入れて人間離れしていくのに合わせて、凪もオルベリオの力で右手が強化されたことが明らかになった(6巻)。話が進むにつれて、二人が対称的な存在であることがわかりやすく示されている。

 次に凪とマーヤが対として出てくる。凪・マーヤの対はそれ自体が岬一・希の対でもある。悪い言い方をすると、アニメや特撮などで出てくる主人公の偽物に近い(仮面ライダーのショッカーライダーなど)。凪と岬一は双子で、マーヤと希は姉妹のようなもので、その対象にただならぬ感情を持っている。そしてなにより容姿がそっくりだ。凪は希にうり二つなマーヤの顔を嫌うが、8巻では「お前もいろいろあるんだな」と多少同情を寄せているように思える。

 他にも兄姉であるアイラと兄のヴァギト、外面はいいが人生を楽しんでいるヴァギトと楽しみきれていない凪などの対があるが、ここではおいておく。

 8巻までの情報を元にすると、主人公、そのパートナーであるヒロイン、主人公の双子の兄、ヒロインの姉(のようなもの)が話の中心で、非常に幾何学的な構図をしていることがわかる。四者を四角形に配置し互いに線を引くと、岬一とマーヤの関係のみが希薄だ。次に話が動くとすれば、ここら辺だろう。


 二重惑星

 7巻31話でこの作品で重要な対が明らかになった。オルベリオとエラメアは兄弟星だったのだ。アイラの祖母が希に見せた映像では、オルベリオから見えるエラメアは地球から見える月よりも大きいので、二つの星は大きさが同じぐらいの二連惑星だと推測できる(注2)。

 オルベリオ人とエラメア人は平和に共存していたが、その能力と性格は大いに異なっていた。エラメア人は相手の心をのぞくことなどができる「眼」を持ち、オルベリオ人は「力(希が「魔法」と呼んでいるものと同様と思われる)」を持っていた。エラメア人は現状維持と他者の観察を好み最終的に「鎖星」したが、オルベリオ人は宇宙を開拓し自星至上主義を唱えて宇宙のほとんどに影響を及ぼす大帝国を作った。攻撃した星の人間を滅ぼしたこともあるという。大帝国は衰退し、4億年の後にオルベリオは地殻の改造のしすぎで崩壊したと思われる。エラメアも既に寿命を迎えたか、近いうちに寿命を迎えると思われる。エラメアは滅亡前に植民したものもいたようだが、オルベリオは不明だ。

 この二つの星の違いは『宇宙戦艦ヤマト』のガミラス星とイスカンダル星を連想させる。メディアによって異なるが最初のアニメの設定では、ガミラスとイスカンダルは双子の惑星であり、それぞれ違う人型知的生命体が住んでいた。二つの星は両方とも近いうちに寿命を迎えるとされた。イスカンダル人は星と最後をともにすることにしたが、ガミラス人は地球を侵略しそこへの移住を目論んだ。地球との戦いはガミラス側が圧勝するかに思われたが、地球はイスカンダルの技術支援により宇宙戦艦を建造し反撃、逆にガミラスをほぼ滅ぼした。リメイク作である『宇宙戦艦ヤマト2199』ではガミラス星は寿命間近の老惑星ではないが、ガミラス人は多くの星を軍事占領しており、全盛期のオルベリオ人に近くなっている。そしてイスカンダルはやはり平和的だった。

 アイラの祖母が言うには、オルベリオとエラメアには違うところだけでなく近いところもあったという。アイラの祖母は平均的な考えを持ったエラメア人ではなかったようだ。彼女はエラメア人がオルベリオ人の蛮行を制止しなかったのに嫌気がさして、仲間たちと地球に移住したという。またエラメア人は「まず十分に自分たちの安全を確保して」「自分が宇宙の観測者になることを望」み、オルベリオ人と同様に「自分の肥大化した自意識に支配されていた」という。彼女はそのことを反省し、第二の故郷である地球を守ろうと決意した。そして岬一と希を観察し、最終的に信用し力を貸したようだ。このようにオルベリオとガミラスほどではないが、エラメアとイスカンダルも多少の類似点がある。

注2) 2015年現在、二重惑星(double planet)は地球人類によって発見されていない。二重惑星は太陽のような恒星がお互いの周りを回転している二連星(binary star)とは異なる。変光星の多くは二連星であると推測されるので、宇宙にはありふれた存在であると言われる。一方、SFやスペースオペラ作品のようなフィクションでは二重惑星はありふれている。二重惑星を語るには、「小さな方の星がどれだけ大きければ惑星で、どれだけ小さければ衛星か」という問題がある。一般には地球と月、冥王星とカロンは(準)惑星とその衛星だが、二重惑星という考えもあるにはあるようだ。




モチーフとしての二重惑星

 二重惑星はお互いの周りを回り続けることで成り立っている。周りを回ることで遠心力が発生し、遠心力と引力が釣り合うと安定して回り続けることができる。もし引力の方が強ければ互いに衝突するか、もしくは潮汐力で破壊されてしまう(ロシュの限界)。つまりお互いに引っ張り合うことが互いの関係に必要になる。

 この二重惑星のような引っ張り合いの必要性はオルベリオとエラメアだけでなく、岬一と希の向かうべき一つの関係を示していると考える。お互いを違うものとして認識した上で、かけがえのないものと見なす考えをしめしていると思う。そしてそれにはお互いを引っ張り合うことが重要なのだ。

 最初にお互いをつないだのは「暇つぶし」つまりともに時間を過ごすことで、次に心臓が二人をつなぎ、岬一が希に見合う人間になろうとすること(「あの男の子はそれに見合う人間になろうとしている」(3巻12話))で釣り合いが取れていく。1巻1話のダンスのようなシーンでは岬一は希にリードされていた。しかし、最初は希に引っ張り回されていた二人の関係は、段々と岬一が能動的にひっぱるものとなっている。

 1巻1話の「二人で一緒にこの星を征服しましょう!」と希が提案するシーンは社交ダンスを連想させ、お互いを引っ張るダンスは二重惑星を連想させる。3巻14話の二人で宇宙人を倒すシーンも同様に相手を引っ張って振り回す動作だ。4巻の表紙でも幼い岬一と希がお互いを引っ張り合って静止している。

 またこの作品には回転するものが登場し、二重惑星のイメージを補強している。2巻8話の観覧車とメリーゴーランド、1巻3話の傘、5巻22話のヴォイテクのバイク、などだ。一方、希が住む路面電車にはあるべき車輪がはまっていない。表紙を見ても、1巻の月と傘、2巻の観覧車とメリーゴーランド、3巻の自転車の車輪、4巻の名前は知らないが上の方に描いてある子供をあやす回転させるもの、5巻の動いてない路面電車、6巻の動いている路面電車、7巻の時計、8巻の水面に映る月、と回転するものが常に描かれている。5巻20中表紙でもこれらの回転する物、回転する物がついている物が多く描かれている。


二重惑星から衛星化か衝突か

 高校に入学してから希に振り回されていた岬一だったが、徐々に形勢が逆転してきた。二重惑星の比喩で考えると、希が衛星に近くなっていると思う。8巻の表紙は水面に月が映っていて、そこに立っている希だ。4巻では岬一が希を追いかけていたら秘密基地にたどり着いたが、7巻30話では岬一は自らの意思で希ならどうするかを考えて、秘密基地までたどり着いた。岬一の方が能動的になってきている。

 7巻34話以降の希は心臓が岬一と同化していっているのを知って、大雑把に言って恋に落ちているような状態になっているようだ。作者のインタビューでは初期の希は中性的に描いていたようだが、3巻あたりから段々と女性らしさが強くなってきた。7、8巻ではさらに女の子らしく見える。女性らしいと言うか恋する乙女に見えてきた。

この作品でもオマージュらしき物がある『少女革命ウテナ』のTV版36話では

「なぜかな?私には今、彼女が女の子に見える」
「天上先輩(注・主人公)は女性に決まってるじゃないですか」
「分かっている。しかし・・・」
「実は、僕にもそう見えます」

というやりとりが出てくる。これは男装の美少女である主人公が恋に落ちかけているのを表している。希も同様だと思う。『少女革命ウテナ』では主人公の中性的なジェンダーから他のジェンダーへの移行を示し、また「王子様」という概念から普通の女の子へと戻りかかっている。希の場合は中性的ないし無性的な戦闘機械から恋する人間への移行を意味している。つまり女性的になるだけなく、人間的にもなっている。

 「広瀬くんと一つになれるんだね(8巻)」と言うセリフはまるで二つの物が物理的に一つになるようなイメージを与える。別にそれは男女の仲では問題がないだろう。しかし二重惑星の比喩から考えると、お互いの軌道が逸れてくっつこうとすれば、最終的には衝突してしまう。どこら辺にシナリオを落してくるか楽しみなところだ。心臓を共有するとは一つの重心を持つということとすればつじつまが合うが、情報が少ないのでこれ以上考えるのはやめて次巻を待つことにしたい。
 


年末のイベント(参加した批評本など)

 コミケ三日目の西地区ま29bで販売するどかいさんの本に参加します。

 座談会本なので今年のアニメについて色々言ってるだけです。しかも途中参加なのであまりしゃべってません。ガッチャマンクラウズ、私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!、進撃の巨人、翠星のガルガンティア、Free!、のんのんびより、THE UNLIMITED 兵部京介、について触れています。



 たつざわさんの新刊に参加しました。

 冬コミの【1日目 東ナ59a】のVoice-Mobiler様 と【3日目 西め32b】の東雲連合様のブースで買えるそうです。魔法少女まどか☆マギカは虚淵玄のみの作品のように思われているので、逆張りして新房監督よりに考えてみました。ファウストやチェコのアニメ作家シュヴァンクマイエルとも比較を試みました(うまくいってない)



 コミケ二日目東カ04bスパム鍋亭で売り子やります。BORDER BREAKの攻略本を販売してますが、僕が出した本はありません。お近くをお通りの際には声をかけていただけると嬉しいです。
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